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1月22日のまにら新聞から

根っこは異なる 比米両大統領比較論

[ 752字|2017.1.22|社会 (society)|新聞論調 ]

 米国にとってのトランプ大統領はフィリピンにとってのドゥテルテ大統領と同じ感覚で捉えていいのか。両者は表面的に共通する部分が多いかもしれないが、根っこの部分では昼と夜ほどの温度差がある。

 トランプ氏はメディアが予想できなかった中で逆転勝利を収めた。ドゥテルテ氏との唯一の共通点は、既存の政治勢力に対する反発が勝利へと導いたことだろう。だが、生い立ちや指導者としての資質は異なる。

 中でも最も大きな違いは、ドゥテルテ氏が大半の支持を集めているのに対し、トランプ氏は選挙終了後もいまだに国民が分断の危機に瀕(ひん)していることだ。

 経歴に至っては、両者は比べものにならない。トランプ氏はニューヨークの富豪の息子として甘やかされた環境で育った。父親と同じビジネスに手を出して不動産王にのし上がり、テレビ番組の司会者としても名を馳せた。一方のドゥテルテ氏は、比の水準からしてもつましい家庭環境だ。政治家の家系に生まれたものの、若い頃は検察官としてしばらく働き、ダバオ市長に就任した。彼は公務を天職と考えている。

 トランプ氏が政界入りしたのは、ビジネスにおける成功、番組司会者としての名声といった立場にある種の倦怠感を覚えていたからだ。自身のエゴを満たす以外、彼が大統領に立候補する理由はない。

 その他の両者の違い、それは指導者として有望か否か。トランプ氏は任期中、国会や行政、治安当局など政権外部と絶えず衝突を繰り返す可能性がある。ドゥテルテ氏は違法薬物や犯罪、汚職を根絶すると主張し続ける限り、卓越した政権運営を担っていけるだろう。

 トランプ氏を選んだ米国以上にドゥテルテ氏は比に変革をもたらす。任期中の6年間、さらなる好機が到来すると信じている。(20日マラヤ、ジョジョ・ロブレス氏)

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