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8月31日のまにら新聞から

さらなる改善を 首都圏の交通渋滞

[ 693字|2015.8.31|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏の交通渋滞に関して、アバヤ運輸通信長官は「渋滞は命にかかわる問題ではない」と発言し、国民から厳しい非難を浴び、発言を撤回して謝罪を表明した。

 交通渋滞の弊害については数多くの団体がアバヤ長官の評価と異なる見解を発表している。

 渋滞による排ガスの増加は大気汚染につながり、長期的に健康被害を及ぼす。医療団体は、すし詰め状態になった道路が緊急車両の通行を妨げ、救護措置が遅れ、結果的に患者が死亡する可能性があるとも指摘している。まさに渋滞は「命にかかわる問題」なのだ。

 経済活動にも悪影響が出る。国民が命を失うことはないが、渋滞で経済成長が滞ることは明らかだ。交通渋滞が、生産性を著しく低下させていると指摘する研究結果もある。

 アバヤ長官は政権与党の自由党に所属しているが、同党のロハス内務自治長官も「渋滞は改善している」との見解を示している。もし、他の与党幹部が彼らと同じような考えを持っているとするならば、なぜ政府が悲惨な渋滞を前にしても、切迫感を持っていないのかがよく分かる。

 政府は国民に忍耐を求めるだけだ。国民はひどい公共交通機関を許容している。渋滞対策に改善の余地があることは明らかだ。

 主要幹線道での大型バス運行を規制し、専用ターミナルを設けるだけでも渋滞は大幅に改善されるだろう。アバヤ長官は車の所有者に公共交通機関の利用を呼び掛けているが、鉄道機関には不具合が多発している。

 各地で進む道路工事などインフラ整備の進行は、改善の兆しといえる。しかし、渋滞対策にはさらなる改善が必要だ。渋滞は経済活動にとって致命傷となる。(27日・スター)

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