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6月29日のまにら新聞から

遅延理由は何か PPP事業

[ 732字|2015.6.29|社会|新聞論調 ]

 アキノ大統領の任期満了まで1年を残している段階で、大統領肝入りの官民連携(PPP)事業は失敗に終わったと決めつけるのは公平さに欠ける。かといって、「大成功」との評価を与えるのも正しくない。なぜなら、PPPのスタートした2010年以来、落札企業の決まった事業は、小学校校舎建設や軽量高架鉄道(LRT)延伸など10件に満たないためだ。

 PPP事業は、国家経済開発庁(NEDA)の閣僚級委員会で最終承認後、入札手続きに回される。3月時点で閣僚級委員会で最終承認された事業は計25案件あり、6月には新たに4案件が同委員会の審査に回された。数字を見る限り、事業選定・承認が格段に遅いわけではない。

 政府は遅延理由を「大型事業が多く、技術的問題と法的複雑さが入札を遅らせている」と説明してきたが、PPP事業が始まって既に5年。これらの問題を解決する時間は十分あったはずで、実際、各事業を統括するPPPセンターのカニラオ所長は14年7月、「過去3年半、教訓を学び、制度改革を行ってきた。今後は、事業の実施速度を上げる」と公言していた。

 同所長の発言から間もなく1年。予定通りに事業が進まない理由は、PPP事業の主体となる省庁、特に運輸通信、公共事業道路両省の事業実施能力にあるようだ。約1年前、同所長は「PPPを成功させるには、事業主体となる政府機関の能力向上が不可欠」と指摘したが、能力不足はエドサ通り沿いのインターチェンジ建設や首都圏鉄道(MRT)補修など、PPP以外のインフラ整備の遅れを見ても明らかだろう。今後もPPP事業を継続し、民間投資を呼び込みたいならば、政府機関の組織改革を断行し、事業を予定通り進める体制作りが先決だ。(23日・インクワイアラー)

社会

「仲裁裁定は紙切れ」 討論会は撤回

[ 1058字|2021.5.8| ] 無料記事

【南シナ海問題に関する仲裁裁判所の裁定で大統領「ゴミ箱行きの紙切れ」】 ドゥテルテ大統領は5日夜の国民向け演説で、南シナ海における中国の領有権主張を退けた2016年7月の仲裁裁判所の裁定について「同裁定は単なるゴミ箱行きの紙切れにすぎない」と表現し、国際法としての実効性が伴わないとの見方を披露した。大統領は昨年9月、米ニューヨークで開催された第75回国連総会の一般討論会にオンラインで参加し演説した際、仲裁裁定について「この裁定は今や国際法の一部であり、弱体化させようとする試みを断固として拒否する」と明言しており、今回の「紙切れ発言」との齟齬(そご)が問題になりそうだ。  7日付英字紙スターによると、大統領は5日の演説で「アキノ前政権はスカボロー礁で比中の船舶が対峙(たいじ)した際に、米国政府の仲介による合意に基づいて比側が沿岸警備隊の船舶を引き揚げたものの、中国側が船舶を引き揚げずにそのまま同礁を占領されたため、比政府が仲裁裁判所に提訴した歴史がある」と経緯を説明した。その上で大統領は「裁定で勝利したからその実現を追求せよ、と批判されている。自分も追求したが、何も起きなかった。単なる紙切れにすぎないからだ」と自身の立場を擁護した。  この発言について、ロケ大統領報道官は6日、記者会見で「大統領は中国の視点について述べたに過ぎない」と火消しに努めた。報道官は「ゴミ箱行きの紙切れに過ぎないというのは中国政府の視点で、なぜなら中国は仲裁手続き自体に参加してこなかったからだ」と持論を展開。さらに「カルピオ元最高裁判事らが大統領は裁定の執行に向けて何もしていない、と批判を続けているが、執行のためのメカニズムがないのにどうやって執行するのか」とけん制した。  デルロサリオ元外相は6日に声明を発表し、「比の大統領が中国側に立ち、裁定を貶(おとし)め、フィリピン国民の権利を害していることは『国家的悲劇』だ」と改めて大統領の姿勢を批判した。 ▽公開討論を撤回  一方、大統領が5日の国民向け演説で西フィリピン海(南シナ海)問題について自分と公開討論を戦わせるようカルピオ元最高裁判事に挑戦的に呼びかけたところ、カルピオ氏は6日、「喜んで討論を受け入れる」と表明した。カルピオ氏と大統領の討論が実現すれば、次期大統領選の行方にも影響を与えるような白熱した論戦になるかと期待されたが、ロケ大統領報道官は7日、「現在は一介の弁護士にすぎないカルピオ氏と大統領が討論するのはおかしい」などと否定的な意見が閣僚の間で噴出し、結局、討論会は撤回されたと発表した。(澤田公伸)