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4月13日のまにら新聞から

指導者責任を問え テロリスト追跡作戦

[ 745字|2015.4.13|社会 (society)|新聞論調 ]

 かつて敵だった者同士でも「公正な和平を通じて」パートナーになることができる--。アキノ大統領は9日、バタアン死の行進を記念する「勇者の日」式典でこのように述べて、反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)とのミンダナオ和平実現の必要性を訴えた。また大統領は日本と米国の代表を前に、第二次世界大戦中に敵同士だった国が、適切なプロセスを通じて、また敗戦国の指導層を裁くことで和平を選んだと述べた。

 原爆の被害を受けた日本は平和憲法を制定し、天皇も「人間宣言」をした。また旧日本軍や特高警察の幹部らも自殺したり、ある者は戦犯として有罪判決を受けた。アキノ大統領が言ったように、日本では公正な平和を求めてこのような方法で正義が実現された。

 大統領は、かつての敵が和平と開発を通じてパートナーになったと日本を引き合いに出したが、その言及には十分な注意が必要だ。たとえば、フィリピンで戦犯法廷にかけられ、1946年2月にラグナ州で絞首刑になった山下奉文将軍だ。

 彼は戦犯法廷で旧日本軍の残虐行為に関する指導者責任を問われ、法廷では当時、通信が遮断され、指揮命令系統も破壊され、将軍は残虐行為を防ぐことができなかったと弁護側は主張した。しかし、指揮命令系統の確保にかかわらず、軍の指揮者の指導者責任が問われるべきだとする原則が確立し、その後の国際社会で適用されている。

 この指導者責任の原則は、ミンダナオ地方マギンダナオ州で警官44人が死亡したテロリスト追跡作戦にも適用できる。交戦で警官を殺害した武装集団の指揮者を司法省は早く起訴すべきである。これら指揮者が起訴されて初めて、大統領は正義の車輪が回り始めたと言うことができるのだ。(10日・スター、アナマリー・パミントゥアン氏)

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