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3月2日のまにら新聞から

新たなだまし戦略 テロリスト追跡作戦

[ 725字|2015.3.2|社会 (society)|新聞論調 ]

 米国の著名な政治評論家ウォルター・リップマン氏はかつて「欺瞞(ぎまん)とは、半分の真実とうそ、あいまいさやごまかし、計算された沈黙や人を惑わす情報、無反応やスローガン、キャッチワードなどからなるプロパガンダを駆使すること」と定義した。警察官44人が死亡したテロリスト追跡作戦に関するアキノ大統領への責任追及を回避するため、国会の与党議員や一部の取り巻きメディアたちが行っているこの政治的欺瞞もその通りだ。

 国会の上下両院は聴聞会を途中から中止しようとしたが、国民の強い反発を受けて再開を決めた。2月23日に再開された上院の聴聞会では、与党議員らはアキノ大統領を擁護するため次の作戦を繰り出した。大統領の責任を不問にするために、当時、大統領に「誤った情報が伝えられた」というイメージを作り上げることにしたのだ。作戦当事者らに議員が質問を投げ掛けたが、結果は大統領が当日午前5時には事件を伝えられていたことが証言で明らかになった。逆に、彼らの証言からは大統領が当日、窮地に陥った警察官たちを救い出すために何の手も打たなかったことが明らかとなった。

 次に議員らがとった戦略は、実際の指揮をとったプリシマ前国家警察長官を窮地に追い込むことだった。同長官が作戦を開始し、他の国警や国軍幹部に作戦を知らせないよう作戦実行部隊の隊長に口止めしたことなどを追及したが、同長官が大統領に逐次、作戦経過を報告していたことが明らかになった。大統領の最高司令官としての責任はいっそう鮮明になりつつある。大統領は権限を持ちながら、兵士たちを救い出すために何らの指示も出さなかった。25日のエドサ革命式典で大統領の辞任要求の声が出たのは当然だ。(2月25日・タイムズ)

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