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1月19日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 690字|2015.1.19|社会 (society)|ハロハロ ]

 サラリーマン人生には転勤がつきものだ。国内転勤のほかに海外駐在を繰り返せば、未知の地にしばらく住むことになり、現地事情に慣れるのにまず注意を払うことになる。3、4年駐在し「仕事だけはやりました」、「ゴルフの腕は上がりました」では、ほかに何も残らないということになり、やや残念ではある。

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 サラリーマンの悲しい性であり、忙しければ仕方のないことだと若い頃はそれでも割り切れた。50代後半になって「短いようで長い人生。もったいないではないか」という気持が強くなってきた。しかし、行動や思考パターンはすぐに変えられない。何かを求めて「自分探し」のような心の手探りに数年かかった。

 幼いころから神童と呼ばれ、生涯無理なく才能を開花させ続ける人もいる。しかし、凡人にとって手応えあるものを見つけるのは難しい。歳をとっても勉強を続けることによって何か得るものがあるかもしれないという淡い夢から始まり、たどりついたのが「昭和史」だった。事変や時の首相や政治家、軍人のキーワードを記憶にとどめ、歴史書を読み返すうちに長い時間がかかったが、少しずつ現代が見えてきた。激動の昭和史が面白くなった。

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 昭和史の原点というべき興味深い分野は、30代半ばから国家の命運を決定的に左右する立場にあり、帝国憲法下で立憲君主制に忠たらんと努めた昭和天皇研究だ。周辺人脈はこれまた面白い。天皇を囲む人物群像は複雑で、ナゾにつつまれている部分がある。国家の崩壊に突き進んでいった昭和という時代の絵姿に少しでも触れることで、現代への理解が深まるのではないかと思っている。(実)

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