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12月15日のまにら新聞から

避難所の改善を 台風ルビー

[ 683字|2014.12.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 台風ルビー(22号)は西フィリピン海に抜け、最悪の事態は免れた。完全に立ち直っていない超特大の台風ヨランダ被災地にも落ち着きが戻った。

 ヨランダ襲来時は混乱に陥った政府や地方自治体も、以前より効果的な防災対策を講じることができた。しかし、まだ避難民への支援や犠牲者数の確定方法など改善すべき点は多い。

 政府にとって死傷者数の確認は課題の一つになっている。ヨランダ襲来時、死傷者について報道陣に「1万人に上る」と発言した国家警察東ビサヤ地域本部長が解任された。

 アキノ大統領が「被害者ゼロ」目標を掲げる中で、上昇し続ける被害者の数を伝えることを政府がためらったのだろう。結局、被災地で見つかった遺体の数は増え続け、確認された死亡者だけで7千人を超えた。

 台風ルビーの場合では、比赤十字と国家災害対策本部の死者数に隔たりがあり、論争になっている。両者が協力し、正確な数値を迅速に把握すべきだ。

 避難所の収容能力に関しても問題が浮き彫りになった。ヨランダを経験した被災者は台風接近に伴い、素早く避難所に避難した。ビサヤ地方とビコール地域を合わせて、少なくとも50万人の人が避難したという。

 他の自然災害に見舞われた時と同じように、避難民は学校や教会にすし詰め状態にされた。多くの国民は劣悪な避難所の環境を理由に、災害が目の前に迫っても、自宅からの一時退避を拒んできた。

 混雑した避難所を見て、複数の政治家は避難施設の新設を提案している。予算は限られているが、自然災害に毎年襲われるわが国にとって、価値ある投資と言えるだろう。(10日・スター)

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