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6月10日のまにら新聞から

対応が鈍すぎる

[ 731字|2013.6.10|社会 (society)|新聞論調 ]

セブパシ機事故

 ダバオ国際空港でセブパシフィック機が着陸に失敗した事故で、アキノ政権は積極的に介入せず、航空会社に空港閉鎖について釈明させる道を選んだ。しかし、このダバオ空港の問題から身を引くという選択は間違いであり、政府が航空安全行政を重視していないことを内外に示した。この事故はダバオにとどまらず、国全体に大きな影響をもたらす問題だ。

 ダバオ空港に関する政府の消極姿勢とは対照的に、先週末にタギッグ市の高級コンドミニアム「セレンドラ2」で起きた爆発に対する大統領府の反応は素早かった。事故発生のわずか数時間後に、アキノ大統領自ら現場を視察し、被害状況などを確認した。アキノ政権は高級コンドの爆発の原因いかんでは、国際社会におけるフィリピンのイメージに傷が付くことを怖れたのかもしれない。しかし、ダバオの着陸失敗事故は、幸運にもけが人は出なかったものの、同空港を利用する数千人の乗客に実際に多大な影響を与えたのだ。

 ダバオ空港が長時間閉鎖されたという事態は、どんなメッセージを社会に与えただろうか。現政権は重要な空港を常時使えるように維持することができず、事故を起こした航空会社の調査も実施できないというメッセージだろうか。米連邦航空局や国際民間航空機関もフィリピンの航空安全行政が十分でない事実を指摘し、安全基準を引き下げたままだ。このことが、フィリピンへの投資流入を控えさせ、観光産業の復活に水を差しているのではないか。

 これは単に、セブパシ社や空港の問題ではない。航空会社には、乗客を安全に運ぶ義務があり、航空会社がその義務を果たすよう、政府が監視するのを国民は期待している。今回の政府の対応は鈍すぎる。(5日・スタンダードトゥデー、ジョジョ・ロブレス氏)

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