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10月3日のまにら新聞から

防衛条約「必ず発動」 南シナ海問題で米国防省

[ 880字|2023.10.3|政治 (politics) ]

米国防省「比の公船に対し武力攻撃が行われた場合、防衛条約が必ず発動する」

 米国防省のリンゼイ・フォード次官補はこのほど、米下院で、比沿岸警備隊(PCG)船艇を含む比の公船に対し武力攻撃が南シナ海で行われた場合、比米相互防衛条約が「必ず発動する」と述べた。1日の英字紙マニラタイムズが報じた。

 下院インド太平洋小委員会のヤング・キム委員長は、南シナ海でPCG船が今年に入って中国海警局船から火器管制レーダー照射、放水砲の発射を受けていることを取り上げ、「米国は比米相互防衛条約を軍事力で裏付けする用意は本当にあるのか。条約が発動する事態で米国が十分な武力による対応をできなかった場合、地域の国々にどんなメッセージを送ることになるか分かっているのか」と追及した。

 それに対しフォード次官補は比米軍事協力の「信頼性」を強調し、「それが米国によるインド太平洋地域および世界の安全保障の基盤部分となっている」と説明。比全土に9カ所建設されている、比米防衛協力強化協定に基づき米軍が利用可能な軍事施設に加え、「スービックに進出している米企業が戦略的な重要インフラである造船所の運営に携わっている」と報告した。

 また、米沿岸警備隊のアンドリュー・ティオンソン太平洋方面司令官は「PCGはわれわれの最大の安全保障の支援を受けている」と報告。9月に米国から引き渡されたブラカン州のPCG訓練センターに触れ、「米国プログラムの下でPCGは人員を5千人から3万5000人に増員することを計画している」とし、さらにPCGの強化を支援するために米国から海事顧問を派遣したことを明らかにした。

 一方、比の下院では9月30日、地方市民連合のアルフレッド・デロスサントス与党院内副総務が、比の排他的経済水域で操業する比漁民を情報収集に活用する計画に反対を表明した。ブラウナー国軍参謀総長が国防のために漁民を「民兵」として訓練する計画を8月に明らかにしていた。

 デロスサントス議員は「漁業従事者を諜報(ちょうほう)員化することは、かれらの命を危険にさらす可能性がある」として、訓練を受けた兵士や予備役にその任に当たらせるよう提言した。(竹下友章)

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