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7月27日のまにら新聞から

インフラ、反共政策を自賛 最後の施政方針演説

[ 1159字|2021.7.27|政治 ]

 ドゥテルテ大統領は26日午後、ケソン市の下院議会場で6年間の任期で最後となる5回目の施政方針演説を行った。インフラ促進プログラム、麻薬撲滅戦争の成果、国民皆保険法など重要法整備の進展、反共政策の強化、新型コロナウイルス対策など過去5年間の政権の実績を誇り、その具体的な達成度も示した。

 コロナ防疫対策のため下院議会場に集まったのは上下両院議員や閣僚、大統領警護隊メンバーなど約350人で、他の参加者らは会議アプリで演説を聞いた。約50人ほどに絞られた昨年に比べると聴衆は増え、大統領は予定されていた1時間の演説時間を2時間近くオーバー、冗談も交えながら、過去の実績の強調に努めた。

 大統領は演説の冒頭で「国立大学授業料の無料化や国民皆保険法などはもう施行された。麻薬や犯罪、汚職を撲滅する戦いも続けている。自分の任期が近づくにつれてビジョンは少なくなったが、思い出すことは増えた」と政権の「遺産」に触れた。しかし、「世界でも最も早い経済成長を続け、その収穫を企業などが得る段階になって新型コロナウイルスによるパンデミックがすべてを奪った」とコロナ禍によって過去の経済成長の成果が台無しになったとも嘆いた。

▽対中戦争あおるな

 大統領は演説で「赤タグ付け」などをめぐって人権侵害との批判も多く出ている「共産主義勢力との紛争を終わらせる国家タスクフォース(NTF─ELCA)」について触れ、「この紛争の根本原因を解決するために偉大な進歩を遂げた」と自画自賛した。また、共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)について「もし彼らが歩いているのを見たら、どうか彼らを撃ち殺してほしい。それで私は幸せだ」などと率直な「ドゥテルテ節」を披露した。

 一方、南シナ海の領有権問題など外交政策について大統領は「独立外交政策を積極的に進めてきた」とし、政府の方針に理解を求めた。南シナ海の領有権問題で比の主張をほぼ認めた判断(南シナ海判決)について「仲裁裁判手続きに加わっていない中国を拘束するものではない。ただの書類に対して私は何ができるだろうか」と疑問を投げかけた上で「(批判勢力は)中国との戦争をけしかけている」と反発した。

 大統領は貧困層への医療支援拡充に向けた1カ所で多くの手続きが済むワンストップ型支援機関「マラサキット・センター」の設置拡大やコロナ対策に向けた検査機関・隔離施設などの迅速な増強などを紹介したほか、コロナワクチンの接種増進に向けた政府の調達や接種プログラムの進展状況なども報告した。

 一方、ケソン市のフィリピン大ディリマン校には左派系市民団体などの呼びかけで集まった市民数千人が正午前に集結し、下院議会場に向けてデモ行進、ドゥテルテ政権に対する様々な抗議の声を上げた。(澤田公伸)

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