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3月8日のまにら新聞から

女性起業家62カ国中2位 世銀が調査結果を投稿

[ 976字|2022.3.8|経済 (economy) ]

世銀調査で、起業家や個人事業主における女性の割合が対象の62カ国中、比がトップ2にランクイン

 世界銀行は2日、「We-Data:女性起業家をめぐる格差を測る」というタイトルの調査結果を世銀のブログサイトに投稿した。それによると、フィリピンは個人事業主の起業家における女性の割合が、対象の62カ国中、トップ2にランクインした。3日のビジネスミラー電子版が報じた。

 起業家をめぐる男女格差は、新規事業の立ち上げや経営に携わる男性と女性の数を比較し算出されたもの。どの経済圏でも有限会社の取締役や経営者、新規事業主は男性が約4分の3を占めるが、個人事業主は女性の割合も3分の1まで上がる。しかし、個人事業主は起業家の資産保護がされなかったり事業拡大に限界があったりなど、リスクも大きいとされる。

 同ブログによると、女性の起業家が男性を上回っていたのは、オーストリア、フィリピン、ジャマイカの3カ国のみ。比では、女性起業家が2015年には52・2%、16年には53・1%を占め、半数を超えているが、個人事業主が多いとみられる。

 2014〜20年までの期間、各国で女性の起業家が占める割合は、依然男性を大きく下回っている国が多いものの、わずかだが平均2ポイント増加。執筆者で世銀民間セクター開発専門家のフレデリック・ムニエ氏らは、ギニアやルワンダなど複数の低所得国での女性起業家の割合が増えたことに起因すると分析している。

 法整備の脆弱性、教育や技術習得機会へのアクセスの制限、社会規範などが、起業家女性の市場への参入を阻む傾向がある。また、世界的に女性は男性に比べてスマートフォンへのアクセスが26%と低く、ビジネスを始めるための十分な障壁になり得るという。コロナ禍では自宅で働く女性も増えたことから、より問題が可視化された。さらに、男女問わず約40%が「男性の方が良い経営者になれる」「男性の方が雇用される確率が高い」と感じており、すでに経済バイアス(偏見)が浸透していることも問題視されている。

 一方、女性が教育を受けた年数が長い経済圏では、企業のトップや個人事業であっても女性の割合は比例して高くなるという。ムニエ氏らは、ブログで挙げている点について「女性が直面している障壁のごく一部に過ぎないが、これらの格差の定量化は、より良い政策の策定とジェンダーに関わらず公平に競える市場の提供につながる」との見解を示した。(深田莉映)

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