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6月5日のまにら新聞から

政府債務が過去最高 前年同月比27.8%増の11兆ペソ

[ 755字|2021.6.5|経済 (economy) ]

4月政府債務はコロナ対策費などのため前月から2%増え、過去最高となる10兆9900億ペソ

 財務局は3日、4月末時点の政府債務が前月3月比で2%増の10兆9900億ペソに膨張し、過去最高を更新したことを明らかにした。政府のコロナ対策予算やワクチン購入費用などに充当するため4月だけでも財務省証券や国際金融市場向けの外貨建て国債などを大量発行し、国内外からの借り入れを積極的に進めたため。政府債務は前年4月比でみると27・8%増と急速に拡大している。4日付英字各紙が報じた。

 4月末時点の政府債務の内訳は国内債務が7兆8000億ペソで全体の71・1%を占めているのに対し、対外債務が3兆2000億ペソで同28・9%を占めている。前年12月末に比べると、4月の国内債務が4カ月間で1兆1200億ペソ(16・7%)増えたのに対し、対外債務は786億1000万ペソ(2・5%)の小幅な伸びでとどまっている。

 4月の政府返済保証付き債務総額は3月比で4347億ペソ(0・2%)減少している。国内・対外債務に関する純償還が進んだためで、若干改善している。しかし、為替市場におけるペソの対ドルレートが弱含みで推移するとの見方も出ており、対外債務返済に関する負担が緩和されるのか注目される。

 4日付英字紙スターによると、比政府債務の国内総生産(GDP)に占める割合は国際財政上で許容範囲上限とされる60%にはまだ届いておらず、さらに借り入れを進めることが可能だとしている。ドゥテルテ政権の経済閣僚らは今年1年間で政府コロナ対策を含めて3兆ペソまでを借り入れ、対GDP政府債務比率も57%まで上昇すると予測している。

 リサール商業銀行(RCBC)のリカフォルト経済研究員は「政府債務の膨張は借り入れ促進と税収減が要因。今後も数カ月にわたって債務はさらに拡大する可能性がある」と指摘している。(澤田公伸)

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